オードトワレは偽物だった
路上で、DIORのファーレンハイト オードゥ トワレを買った。全く違う甘ったるい香りだった。香りを確認してから買うべきだった。
旅の費用

回想 偽物のオードトワレ
288香港ドル――日本円でおよそ3千円。
その値段で買った「ファーレンハイト オードゥ トワレ」は、残念ながら偽物だった。(今考えれば当然だ)
2025年9月現在、Diorの同じ香水は50mlで12,650円。
1995年当時の正規の小売価格は正確には覚えていないが、6千円前後だった気がする。
ブランド品が安い香港といえども、3千円で買えるはずがない。しかも路上販売だ。
実態は、本物の空き瓶に全く別の液体を詰めただけの代物。スプレーから吹き出した甘ったるい臭いを、僕は今だに覚えている。
洋服やカバン、時計なら、たとえ安物の偽物でも「本物っぽさ」を演出する努力がある。しかし、オードトワレには、そんな努力のかけらもなかった。本物の瓶から、全く違う香りが出てきた時は、衝撃だった。
カメラのレンズのように返品できるわけもなく、ゴミ箱行き。
安さに惹かれた買物は、駄目だ。僕の鼻には、DIORの香りではなく、甘ったるい苦みが残っている。
回想 FM2購入の苦労話
FM2本体を買ったときの苦労を、思い出したので、回想もう一つ。
目星をつけた店で購入意思を示すと、返ってきたのは――
「ない。(メイヨ~)」
そうか、では仕方ない。二番目の候補の店へ行くと、やはり同じ答え。
「ない。(メイヨ~)」
店は在庫を抱えず、価格だけ提示し、仕入れ先に在庫が無かった、というオチだ。
それにしても、客の僕としては、別の仕入れ先から在庫を探す努力や、つながりを当たってくれるかと思いきや――
彼らの返事は、あっさりと、
「ない。(メイヨ~)」。
信じられないことに、その次の店も、そのまた次の店も。
価格チェックしたどこへ行っても、回答は
「ない。(メイヨ~)」
苛立ちを覚えた。
「金額を提示しておいて、無いっておかしいだろ!」
そう詰め寄っても、店員は白けた顔で、ただ同じ一言を繰り返す。
「ない。(メイヨ~)」
安い店を探すどころか、FM2を購入できないかもしれない不安と共に、
諦めず、何軒も回り、在庫のある店を見つけた。そのときには、
価格よりも購入できることがありがたいと思った。(今考えると、その”感謝”の隙に付け込まれてしまい、不良品のレンズを掴まされたのだろう。)
やっぱり、1995年5月20日の回想に書いたように、電化製品を買うなら日本の家電量販店の方が絶対いい。香港でのカメラ購入は、そんな確信を強める体験だった。
2025年、今でも、店頭で電化製品を買うなら、日本の家電量販店が世界で一番だと思っている。


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